山友からオトトミ谷のトチ・サワグルミ巨木を見に行くお誘いがあり、防府市→徳地町→鹿野町→県道3号→島根県吉賀町柿木・白井地区を目指して7時過ぎに出発した。
途中徳地町では雷鳴が鳴り豪雨となり中止を一瞬考えた程であったが鹿野町に入ると雨は小やみとなり、集合場所の白井地区黒淵に着いた9時15分には雨はすっかり止んでしまった。
待ち時間で周囲を散策していると、数羽の燕が飛んでいるのに気が付いた。
今から60年前頃には燕は何処の町でも何処の家でもなじみ深い鳥であったが、最近は余程環境が良い場所でしか姿が見えない。
農薬の散布や大気汚染が燕を遠ざけたのではないだろうか?
雨が上がったので予定通りオトトミ谷を遡行することにした。愛宕神社の手前の舗装道から山側の畑にカタクリの花が見えた。標高530mのここでは見事な花弁が開いていた。
地元の中年男性に挨拶すると、最近は土日はおろか平日でも登山者が増えて来たとのこと。
愛宕神社の千年杉に一礼し敬意を表したあと 栗園の先の橋を渡りオトトミ谷へ入った。
何と10ⅿばかり進んだ時点で早くも濃い笹原が行く手を阻んだ。オトトミ谷入口から当分の間は比較的歩きやすいコースが続くと勝手に想像していたが、甘い考えだった。
笹原の上の微かな踏み跡を頼りに20ⅿあまり笹原を進んだ後、沢に下りた。
ここからも歩けそうな場所を探しながらピンクテープがある方向を頼りに沢の中、右岸,左岸を渡り歩くはめになった。沢の水量はかなり多く岩伝いに遡行するにも苔むした岩から水中に滑り落ちないよう細心の注意が必要であった。右岸から左岸、左岸から右岸への渡渉も頻繁に起こった。傾斜の緩い場所では蔓が絡まった濃い笹にしばしば足を止められた。
オトトミ谷の入口から10分も進んだだけで、この谷の遡行が想定外の難路であることをいやがうえにも思い知らされた。
暫く悪戦苦闘した後 注意して見ると昔の通路らしきものが現れ始めようやく周囲を眺める余裕が出てきた。
延齢草の姿も沢を上るにつれて増えてきた。
沢に横たわる岩の苔の上に猫の目草が咲いていたのは珍しい風景だった。
沢に横たわる倒木には苔の中にナツエビネも育っていた。
炭窯跡が現れ始め3つ目の炭窯跡を過ぎてさらに進むと、沢の両側に高木が増え始め標高≒750ⅿ辺りで左側斜面にトチの巨木1がついに姿を現した。
さらに進むと標高≒770ⅿ辺りで右側斜面にサワグルミの巨木が直立していた。
目視ではあるが樹高は40ⅿ近くあるのではないだろうか?
ある記録ではオトトミ谷の2本のトチ巨木の胴回りは4.43mと4.86ⅿとのこと。
更に歩を進め標高≒790ⅿになると、枝をひときわ大きく張りだしたトチの巨木2が左谷に現れた。
周囲には巨木たちが高さを競うように林立していた。
オトトミ谷入口からここまで来るのに3時間程度掛った。
取りあえず第一目標であるトチ・サワグルミの巨木に会えたので一安心した。
更に沢を登って見たが、V字谷の幅が狭まり、沢の傾斜も増してきた。オトトミ谷の下りも難路であり体力の消耗も考えて此処から下山することにした。
下りも一歩もおろそかにできない難路の連続であり、笹を握っての急斜面下降では雨で濡れた土を踏んで滑り尻餅をついてしまった。幸いにも左手で握った笹のお陰で2m下の沢への滑落は免れたが、衝撃でストックの最下段が曲がってしまった。
問題は最も難儀な谷の入り口の500〜600mであったが、どうにか無事に通過できた。下りは≒2時間かかった。
正直な所2度とこの谷は下りたくない心境になった!!!
濃い笹薮の先に水田を囲むトタン板が見えた時ようやく安堵して歩を進めることができた。
岩も斜面も滑り易く、蔓が巻き付いた濃い笹藪、2〜3ⅿ進む度に進むべき進路を立ち留まって探す複雑なルート、数えきれない右岸・左岸渡渉などは、比較的整備された登山道に慣れ親しんだ当方にとっては今まで十数年の(中低山)山行の中では最難関コースの一つだと感じた。ただこのルートには落差の大きな滝は一つもなく高巻が不要だった所は大いに助かった気がする。
オトトミ谷の登りではトチ・サワグルミの巨木に会えるという明確な目的があり、体力的にも余裕があるが、この谷を下る時には目的意識は希薄で気が緩みがちとなり、体力も消耗している点などで下りは御免こうむりたい。
とは言え、先行者によるピンクテープや邪魔になる枝の除去などがあったお陰で、初めての難路オトトミ谷遡行であったにもかかわらず無事故でピストンできた…と実感した。
これらの先行者のご尽力に感謝、感謝、感謝。。。
同行されたY氏へお礼を申し上げた。
翌朝目が覚めた時、愛宕神社→オトトミ谷→縦走路→弟見山→北方稜線→ドウノオク林道終点→ドウノオク林道→愛宕神社という周回コースが実現可能なれば、オトトミ谷は上るだけで下らないで済む!!!・・・と気が付いた。
何故なら、当方は13年前に、愛宕神社→ドウノオク林道→ドウノオク林道終点→北方稜線→弟見山というルートで2回弟見山に単独で登り下った記憶があったからである。このルートの核心部はドウノオク林道終点〜北方稜線(標高差230ⅿ、急峻な道なき道)であり、途中植林帯を通過した記憶がある。しかし13年前であるのでその後の経年変化等もあるだろう。
13年前ではドウノオク林道は綺麗に整備されていたが、今では荒れているかもしれない。
13年前では背丈しかなかった灌木類も大きく成長しているであろう。
この周回コースは 夢 かもしれない!!!
<4月16日(日)>
15時〜17時30分で常盤湖を歩いて一周した。
4月13日に整備した松林コーナーで桜とのコラボを写真に撮った。
桜の花は殆ど散っていたが、沢山の花をつけた桜の木も数本あった。
今年ほど散った桜の花びらを多数見たのは今まで無かった。
常盤公園のシャクナゲはかなり開花していた。